私は一部上場メーカーで海外営業として北米・南米・欧州・中国・アジア・アフリカなど世界中の事業に携わり、2カ国で合計8年半の海外駐在を経験してきました。
そんな経験から、会社の後輩や友人から「海外駐在するとどれくらい給料が増えるの?」とよく聞かれます。本記事ではそんな海外駐在時の年収・給料の実態について暴露していきます。
先に結論を言うと、ハッキリ言って信じられないくらい海外駐在すると年収が増えます。
また実はもう一つ大きく実質年収に影響するのは支出が減ることです。
これらについて詳しく解説していきます。
海外駐在員の年収・給料
まず年収がどのように増えるかについてお話しします。
一般的には海外駐在する場合、国内給料と現地給料の両方が支払われます。
それに加えてハードシップやその他手当が発生します。
国内給料
一般的に海外駐在する場合でも、国内給料が日本の口座に支払われ続けます。
算出方法は会社によって異なりますが、駐在前よりも少し目減りするのが一般的です。
現地給料
一般的には現地通貨で現地の銀行口座に振り込まれます。
国によってはインフレ率が激しいなど特殊事情により、現地通貨ではなくUSDやEUROで支払われるケースもあります。
私の場合もそうでしたが、駐在期間中は現地給料だけで十分生活できるケースが多いので、国内給料は全て貯金にまわしたという方は多いです。
ハードシップ手当
これは駐在する国によって金額が変わります。
駐在する国の衛生状況や治安事情などに応じて、会社規定で金額が決められています。
つまり駐在によって従業員に精神的・肉体的な負担を強いることに対する対価です。
一般的に金額が高い国はインドやアフリカ諸国などで、会社によって変わりますが月10万円〜15万円くらい支払われるケースが多いです。
その他手当
会社によって様々あるでしょうが、よくあるのは家族は日本に残って単身で海外駐在する場合に発生する家族手当です。つまり国内に在留している家族の生活費です。
例えば家賃・光熱費など、別居してるために二重で発生する費用もありますし、片親がいないことで発生する不具合を補う目的です。
子供の学業やその他家庭事情により単身で海外駐在するケースは多々あります。会社都合で従業員に海外駐在させるわけですから、残った家族の生活も会社がしっかりサポートしてくれます。
私がアフリカに駐在した時のケースで言うと、国内給料・現地給料・ハードシップ手当含めて、駐在前に比べて年収は1.5倍くらいになりました。
このように海外駐在すると年収自体が大きく増えるのが一つの魅力なのですが、実はもう一つの大きな魅力は支出が低く抑えられる点にあります。
では次は支出が低く抑えられる理由について詳しく解説していきます。
実はここが大きい、福利厚生・各種手当
支出が低く抑えられる大きな要因は、生活に必要な固定費を会社が補填してくれる点にあります。
どこまで補填してくれるかは、会社や駐在する国によって事情が異なりますので、主に私の実例を中心にご紹介します。
家賃
海外駐在すると全額もしくは大部分を会社が負担してくれます。
会社としてまず駐在員の安全確保が第一優先ですので、外国人が安全に生活できるエリアでセキュリティもしっかりしている物件に住むことになります。そうすると家賃も高額になりますが業務指示で海外駐在するわけなので、会社がしっかり補填してくれます。
私の例ですと警備員24時間常駐でプール・ジム付きのマンションに住んでいましたが、家賃20万円のうち自己負担は1.5万円ほどでした。
また海外では水道代・光熱費・インターネット代などが家賃込みというケースもありますので、いずれかが家賃込みであればその分も自己負担がなくなります。
携帯電話代
携帯電話は業務上必要になりますので会社から支給されます。
手厚い会社では配偶者の携帯電話も支給される場合があります。
私の場合は妻にスマートフォンが支給され、月一定量までは通信量が会社負担でした。
車(&運転手)
まず駐在する国によって自分で車を運転できる場合とできない場合があります。
大まかに言うと欧米豪などの先進国では運転可能、アジア・中南米・アフリカの多くの発展途上国では運転不可というのが一般的です。
自分で運転できる国の場合は会社から車が支給されるのが一般的で、通勤はもちろん休日も使用可能です。またガソリン代も会社が負担してくれるので、車の維持費が基本的には掛かりません。
手厚い会社だと配偶者の車も支給されます。さすがにガソリン代は支給されませんが。
一方、自分で運転できない国の場合は運転手付きで車が支給されます。発展途上国では通勤時間帯の渋滞がひどいケースが多いので、会社の行き帰りの移動時間を寝て過ごせるのはかなり楽です。
基本は平日のみ使えるというケースが多いですが、それでもゴルフなどで休日車を使いたい場合はドライバーに少しお金を渡せば喜んで対応してくれます。
医療費
医療費は会社が全額負担してくれるケースが多いです。
住み慣れない国で、重要な責務を負って駐在しているので、福利厚生の観点で会社がしっかり面倒を見てくれます。
風邪などの些細なことから、手術や入院などの高額医療でも会社が負担してくれます。
よく聞くのは海外駐在中にインプラント治療をしたという方です。日本で治療すると一本あたり20〜30万円くらいしますが、駐在中であれば自己負担なしで治療できるのでこれはかなり大きいですね。
その他メリット
福利厚生や手当とは関係ありませんが、他にもこのようなメリットもあります。
各種マイレージ・ポイント
出張で飛行機に乗る場合にマイレージが個人で貯まります。
私は中国駐在時に毎月1〜2回は飛行機で出張に出てましたが、中国は国土が広く、飛行距離も長いため、貯まったマイレージを使って毎年二人で海外旅行に行ってました。
また出張時のホテル予約もポイントが貯まる予約サイトを使うと個人でポイントが貯まります。ちなみに私はHotels.comを使って宿泊ポイントを貯めてました。
交際費
日本ではペーペー社員でも海外駐在すると交際費を自分の裁量で使いやすくなります。
日本から出張者が来た時、駐在先でお客様と会う時などは交際費を使って食事などできます。また私は販売計画を達成した時は、交際費を使って部下を昼食に連れて行ったり退勤後に軽く一杯ご馳走してました。
一時帰国/健診休暇
海外駐在中は定期的に日本へ一時帰国して休暇を取る制度があります。その際の渡航費用とホテル/食事代などの滞在費も会社が全額もしくは一部を支給してくれます。会社や駐在国によって頻度は異なりますが、環境が過酷な国だと半年に一回帰国できたりしますので、その度に各種マイレージやポイントを貯めることができます。
また年一回は駐在先で健康診断を受けますが、医療レベルが低い国に駐在してる場合は、医療レベルの高い周辺の国もしくは日本で健康診断を受けれる場合があり、これもやはりマイレージやポイントを貯めることができます。
まとめ
このように海外駐在をすると収入が増えるのと同時に支出も減りますので、実質年収で2倍くらいになります。なので資産形成の点で海外駐在は本当におすすめです。
傾向としては物価の安いアジア・アフリカ・中南米などに駐在する方がお金は貯まります。20代で駐在したとしても5年間駐在すれば1〜2千万円の貯金が可能です。
ということで今回は海外駐在員の年収・給料に関わるお金事情についてお話しましたが、海外駐在の魅力は金銭面だけでなくキャリア形成に有利に働く面もあります。
もし海外での仕事に興味があるなら、海外駐在ができる仕事を探すのをおすすめします。
海外駐在員の仕事内容を詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
こちらもCHECK
-
海外駐在員ってどんな仕事するの?【8年半の海外駐在経験者が解説】
「海外駐在に憧れるけど、駐在員ってどんな仕事をしてるんだろう?」 こんな疑問にお答えするために本記事では、 ①海外駐在員の現地での役割 ②私の海外駐在中の仕事内容 をご紹介します。 私の営業職での2カ ...
海外駐在の良い面だけじゃなく、悪い面も含めて知りたいという方はこちらの記事も是非ご覧ください。
こちらもCHECK
-
海外駐在のメリット・デメリット【海外駐在8年半の経験者が解説】
「海外駐在に興味があるけど良いこと悪いこと含めて実態を知りたい!」 こんな疑問にお答えするため、本記事では海外駐在のメリット・デメリットについて解説します。 私は営業部門で2カ国・合計8年半の海外駐在 ...