転職活動において最も大事な局面は面接試験です。
企業の採用担当者や募集部門の部門長、場合によっては社長と直接面接し自分を売り込むことができる大事なチャンスです。だからこそしっかりとした事前対策を取っておくことが必須です。
面接対策としては様々なテクニックもありますが、最も大切なのは「ブレない軸」を持っておくことです。
いくら様々な事前対策を練って武装して面接に挑んでも「ブレない軸」を持っていなければ、面接官には簡単に見破られてしまい武装は剥がされてしまいます。
当記事では「ブレない軸」を持つためのポイントを解説します。
私自身も転職で一部上場のいまの会社に入社し、いまは海外営業部に所属し中途採用の面接官も行っています。私自身が転職活動をした時の経験と、いま採用面接を行っている立場から見た気づきも踏まえて解説しますので、転職活動の参考にしてください。
なぜ面接で軸がブレるのか
面接の中で応募者に対して色々な角度から質問をしますが、その後の会話のキャッチボールを続けると「ん?なんかさっき言ってたことから段々ズレてきたな」と感じることがよくあります。
面接対策として、よくある質問を想定し一貫性も意識しながら一つ一つの回答を準備されてたんだと思います。にも関わらず面接の中で段々と一貫性が欠けてくるのは、面接のストーリーとなる軸が十分に練り込まれていないからです。
例えば質問①に対して用意した通りの回答ができても、質問②が想定してなかったものだった場合、面接の軸が十分に練り込まれてないとその場の思いつきでしか回答ができません。その後、質問③に対しては用意していた通りの回答をできたとしても、質問①③と②の回答の間で一貫性が取れないということが生じるのです。
さらに自分自身も一貫性が欠けてきたことに気づいてしまうと、焦りが生じて受け答えがしどろもどろになり、結果撃沈ということになります。
また面接では単純に質問を一つ一つ順番に投げかけるのではありません。会話の流れから一つの質問をきっかけに会話のキャッチボールが展開され、次の質問が思わぬ角度からされることもありますので、とっさに準備していたのとは異なる回答をしてしまうこともあります。
ブレない軸を持つための秘訣
では面接でいつどんな角度から質問をされても軸をブラさずに落ち着いて回答するためにはどうしたらいいのでしょうか?
それは「以下3つをことこん深掘りすること」と「3つに一貫性を持たせる」ことです。
転職理由
志望動機
経験・実績とその取り組み姿勢
この3つをなぜなぜを繰り返しながらしっかり練り込むことができれば面接は恐れることはありません。
なぜなら、
この3つは採用企業側が重視するポイント
この3つを熱意を持って語ることができればあなたの言葉に説得性が増す
この3つの深掘りが十分にできていればそこから派生する質問にも対応できる
では順番に詳細をご説明します。
転職理由
「なぜ現職を辞めて転職をしたいのか?」ということですが、この質問の本質は「あなたがやりたいことは何か?」ということです。
この質問の意図は「目標が明確あってその実現のためにチャレンジする人」なのか「ただ現状の不満から逃げたい人」なのかを見ることです。
当然会社が求めるのは前者の人物ですので、この質問に対してはこのように答えるべきです。
① 私はこういうことがやりたい
② そのやりたいことが現職では実現できないから実現できる会社に転職したい
【模範回答例】
お客様との接する仕事がしたくて(国内)営業の仕事を選びましたが、以前取引先を通して海外のお客様に対して商品を売り込む機会がありました。その仕事を通じて文化の異なる海外のお客様と交流する楽しさを知り、海外営業の仕事に携わりたいと強く思うようになりました。しかし現職では直接海外のお客様と取引することができないため、海外営業職のある会社でチャレンジしたいと思いました。
ただし、ただの「わがままな人」や「我慢できない人」と取られないように注意が必要です。
【NG回答例】
・やりたいことがあるが現職では3年間の経験を積まないとやらせてもらえないから
→会社としてこれを任せるには3年間くらいの経験は当然必要。3年間の努力もしたくないのか
・いまの仕事を続けたいのに会社から他部門へ異動を命じられたから
→会社では必要に応じて異動はつきもの。当社に入社しても異動になったらまた辞めるのではないか
「実現したい目標があるが現職の環境ではそれができない」ということが、誰が聞いても筋が通るように練り込むようにしましょう。
志望動機
これは転職理由とちゃんと結びついている必要があります。
「やりたいことがあって転職をしたい」のであれば「ではなぜそれを当社で実現したいのか?」ということです。
この質問は「自社への転職に対する本気度」を図ることです。
これがズバッと迫力を持って答えられないと「別にどこの会社でもいいのか」「また嫌になったら簡単に辞めてしまうのか」ととられてしまいます。
なので「自分のやりたいことを実現するにはその会社でなければならない」という熱い想いをぶつけるようにしましょう。
これは「愛の告白」と同じですので、少し大袈裟で恥ずかしいくらいの言葉を選んでも構いません。
ただし、その会社と同業他社の分析はしっかりしておきましょう。
「それだったら同業のB社でもいいのでは?」と思われるような志望動機では相思相愛になれませんので。
【模範回答例】
日本が世界に誇れる産業は○○○だと思います。その中でも御社は独創的な商品を世に出し続けており、私自身も御社の△△△(商品名)のファンです。さらに御社は海外市場の開拓に力を入れ、海外の販売拠点の拡大を掲げておりますので、私も御社の海外市場開拓に携わりたいと思いました。
(またそういった独創的な商品を生み続ける原動力となる、御社の「想像とチャレンジ」を大切にする精神に非常に共感しており、御社でチャレンジしたいと思いました。)
このように転職理由と志望動機のつながりが一貫してると、あなたの言葉により説得性が増します。
また「企業精神」なども織り混ぜるとその会社に対するこだわりをより示すこともできます。
【NG回答例】
・御社の従業員を大切にする社風に共感しました。
→転職理由で海外営業がしたいと言ってるのに志望動機に全く出てこない
→漠然としていて他の会社でも使える理由
経験・実績とその取り組み姿勢
この質問の意図は「自社でどいう活躍してくれるか」を見ることですが、大切なのは経験・実績そのものだけでなく、その過程で「何を考えてどう取り組んだか」ということです。
経験した仕事そのものはただ会社から機会を与えられたものであり、実績は別にあなたじゃなくてもその仕事を任された人であれば誰でもできたことかもしれません。面接官が知りたいのは、あなたが「どのように物事を考え」「どのように判断し」「どのように行動するのか」といった仕事の取り組み姿勢です。
なぜならそれを知ることで、あなたを採用したらどのような仕事ぶりを発揮してくれるのかをイメージできるからです。
この項目に関しては色々な質問パターンがありますので、質問されたことに対して的確に返すようにしましょう。
【質問例】
これまでの職務経験・経歴を教えてください。
【回答】
これまで経験した仕事を時系列で順番に完結に説明するだけ。
【質問例】
あなたが現職の仕事でうまくできたと思うことは何かありますか?
【回答】
うまくできた仕事の具体例を説明し、あなたがどう努力や工夫をしてそれを達成したかも語る。
【質問例】
あなたが現職の仕事でうまくいかなかったことは何かありますか?
【回答】
うまくいかなかった仕事の事例も説明し、その失敗経験を通じて得た教訓も合わせて説明する。その上で、その教訓を活かしていまはこう取り組むようにしている、というところまで語る。
【質問例】
あなたが業務を進める上で最も大事にしていることはなんですか?
【回答】
取り組み姿勢の中で大事なポイントを説明する。「どう考え」「どう判断」「どう行動」の部分をアピールすると伝わりやすい。
まとめ
面接でブレない軸を持つための3つのポイントをご紹介しました。
転職理由
志望動機
経験・実績とその取り組み姿勢
いくら想定質問の事前対策をやってても、面接本番では想定してなかった質問をされることもあります。
どんな質問をされても、自分の軸をブラさずに、一貫性を持って語れるように、この3つのポイントをしっかり深掘りしてから面接に望むようにしましょう。
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