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海外駐在のメリット・デメリット【海外駐在8年半の経験者が解説】

海外駐在のメリデメ

「海外駐在に興味があるけど良いこと悪いこと含めて実態を知りたい!」

こんな疑問にお答えするため、本記事では海外駐在のメリット・デメリットについて解説します。

私は営業部門で2カ国・合計8年半の海外駐在を経験しており、その時のリアルな経験も交えて解説しますので参考にして頂けると思います。

 

海外駐在のメリット

駐在メリット

まずは海外駐在のメリットですが、先に言ってしまうとデメリットよりメリットの方が圧倒的に多いです。

マネジメント力が身に付く

海外駐在すると日本にいるときと比べて1〜2ランク上の仕事を任されます

例えば日本では一般社員だった人が駐在先では課長・部長級の仕事を任されます。部門の責任者という立場になり、部下となるローカルスタッフを従えて、部門の目標達成に向けて引っ張っていくことになります。

なのでマインドを一担当者から運営責任者に完全に切り替える必要があります。仕事や組織は与えられるものではなく、自分が作り与える立場になります。

分かりやすく私の具体例をお話しすると、直近の駐在先では営業部長の立場で駐在してました。営業部門の責任者として19名の部下を従え、直属の上司は社長(日本人駐在員)でした。

部下を使って仕事を回す

私の任務は「会社の販売計画の立案とその達成」でした。つまり目標は与えられるのではなく自分で設定することになります。

そしてその目標達成のために営業部隊・マーケティング部隊・受発注部隊・出荷部隊を指揮しなければなりませんので、もはや実務は自分の手を動かすのではなく部下に指示してやらせなければなりません。

部下に仕事の指示を与え、部下の仕事の進捗管理をし、必要に応じてアドバイスを与えながら目標達成を目指します。なので、
「部下が仕事をやりやすい環境を作るためにはどうしたらいいか」
「仕事の流れをどう変えればより効率的で高い成果を得られるか」
というように一段高い目線で物事を見るようになりました

また部下から日々様々な報告を受け、都度自分が判断しなければなりません。そこで「ちょっと考えるから待ってて」なんて言ってると後工程を含めていろんな仕事が止まってしまうので即断即決しなければなりません。こうした毎日の「報告を受けて判断」を繰り返すことで、押さえるべきポイントを絞り込む力が養えます

部下の育成

部下一人一人のパフォーマンスが上がらないと部門のパフォーマンスも上がりませんので、部下の育成も自分の重要な仕事です。なので「自分がやればすぐ終わる仕事」でも部下にその仕事をやる背景や全体像を説明し、より早く的確なアウトプットを出させるように指導しなければなりません。

人を育てるためにはその人の能力レベルや適正を見極め、それに応じた指導をしなければなりません。名将と呼ばれるスポーツの監督は選手の可能性を見極め育てる力に秀でています。人を育てる力を養うことがマネージメントとしてのスキルアップにつながります。

組織は自分で変えていく

部門の責任者ですので必要に応じて組織変更や増員/減員なども自分の判断する必要があります。

私が赴任したときは業績悪化の真っ只中で赤字を免れるために最終的にリストラを敢行しました。ローカル人事部長と協議を重ねた上でリストラ対象社員と提示条件を決め、部下へのリストラ勧告も自分で行いました。自分の部下をリストラするのは本当に心苦しく、いまでも嫌な思い出として心に残ってます。

逆に販売が右肩上がりの局面では、さらに販売を加速するために投資対効果を検証し増員を判断することもあります。

このように与えられた組織の範囲内で仕事をするのではなく、状況に応じて自分で組織を最適化していく力が求められます。

人事評価

当然部下の人事評価も自分で行いますので、部下一人一人の今後のキャリアプランを考えて評価をつけていきます。ただ漫然と評価をつけるのではなく、今後組織をどう変えていきたいか、そのために誰をいつまでにどのポジションに引き上げていくか、など将来像に基づいた評価が必要になります。

また多面評価として他部門の人間の評価にも加わりますので、自部門だけでなく他部門の人間の日頃の働きぶりにも目を配る必要があります。

 

このように海外駐在すると、日本にいる時よりも高い視点で物事を見るようになりますので、自然とマネージメント力を養うことができます。

 

仕事の知識・スキルの幅が広がる

会社として駐在員には大きな費用がかかりますので必要最低限の要員しか出しません。私の例で言うと、営業・経理部門にしか駐在員はいませんでした。

しかし現地で仕事をしていると商品の輸入・サービス業務・契約関連なども業務に関わってきますので、それら全てを自分で対応しなければいけません。例えば、日本本社からこんな問い合わせが来たりします。

「船会社との輸送条件交渉のために輸入側での通関・国内物流の制約を教えてほしい」
「商品不具合が発生したが現地でどんな対応ができるか調べて欲しい」

そんなときでも「営業だから分かりません」という訳にはいかないので、物流やサービス部門のローカルスタッフに確認したり、調べるように指示して本社部門との繋ぎをしなければなりません。

また「既存販売店との契約を打ち切り、新規販売店への契約切り替え」を実際にやりましたが、現地に法務部がなかったので、英文契約書を読解、現地弁護士に相談しながら解約条件の設定、先方と契約打ち切り交渉、新規販売店との契約交渉、などを自分がローカルスタッフと一緒に行いました。

このように駐在すると自分の専門外の仕事もこなしていくことで、幅広い知識と経験を身につけることができます。

英語力が飛躍的に向上する

英語環境の中で日々仕事をしていると英語力が飛躍的に向上します。日本にいるときも英語を使って仕事をしてましたが、やはり英語しか通じない環境で仕事をしてると、より実践的な英語を身につけることができます

特に私の場合は週末も会社のスタッフと一緒に遊んだり、普通は日本人が行かないようなエリアやレストランに出掛けて現地の人と交流してましたので、それも英語上達に役立ったと思います。

中には日本人同士で固まって行動する、日本食レストランばかりに行く、週末は日本のYoutubeをみて過ごす、という駐在員やその家族もいて、あまり英語が上達しないまま帰任する人もいました。その割に英会話学校には通って英語を勉強するというのは意味不明でしたが。

海外駐在すると英語が上達する環境にあるのは間違いありませんので、積極的に現地の人と交流する機会を増やすようにすれば英語力は飛躍的に上達します。また現地の人と交流することでその国の文化や価値観を深く知ることができ、自分の人生の幅も広がること間違いないです。

収入が増える

これは実際にもらえる給料が増える点と給料以外の間接的な補助が増える点があります。

まず給料でいうと、海外駐在に出ると日本支給の給料に加えて駐在給がもらえます。駐在中の給料の仕組みは会社によって様々ですが、通常は日本の給料は一定の計算に基づき減額されますが、一方で現地で生活するための駐在給が加算されるため総額で1.5倍くらいは給料が増えます。

単身か家族帯同かでも変わりますが、単身の場合は海外の本人の生活と日本に残る家族の生活と二重に生活費が掛かるため、単身赴任の方が支給額が増えるのが一般的です。

また日本と比べて生活環境の厳しい開発途上国になるほど駐在給の加算が増えるのが一般的です。

理由は大きくは二つです。

  1. 日本食が手に入りにくい、医療環境が整っていない、衛生面がよくない、などの理由から、駐在員とその家族の心身の負担に対する対価
  2. 日本人が一般的な生活をするために必要な品質レベルの物資(日本食や生活用品など)を手に入れるには高い金額を払う必要があるため、高額な生活費を補助する意味合い

次に間接的な補助でいうと、駐在先の家賃補助・車の貸与・医療保険加入・一時帰国費用などが主に挙げられます。

家賃補助 会社としても駐在員の身の安全は第一優先です。日本人が安全に生活できるエリアでセキュリティもしっかりした物件に住むことになりますので家賃も結構高額になります。そして会社の業務指示で海外駐在するわけなので家賃の大部分を会社が補助してくれます。
私の例ですと約20万円のマンションに住んでいましたが自己負担は1.5万円ほどでした。
車の貸与 交通事情などを考慮し自分で運転できない国はドライバー付きの車が用意されます。
自分で運転できる国だと車が貸与されることがよくあります。
私の例ですと月5千円くらいの自己負担で会社から車が貸与されてました。
医療保険 これも会社が負担してくれる場合が多いです。
なので駐在先で病院に通っても自己負担はゼロで済むというのがよくあるケースです。また国によってはファーマシー(日本のドラッグストア)で薬を買っても保険で支払える=自己負担ゼロになる国もあります。
なので駐在中に歯のインプラント治療をするというのはよく聞きます。
一時帰国費用 駐在国にもよりますが年に1回か2回は静養や健康診断を兼ねて日本への一時帰国制度がある会社が一般的です。
その際の渡航費用と日本でホテル宿泊が必要な場合はその宿泊代も会社で負担してくれます。

このような給料の増額と間接的な補助金を含めると私の場合は実質年収が2倍くらいに増えました。なので自然と駐在中に数百万円から数千万円の貯金が貯まります。

海外生活を楽しめる

個人的にはこれが1番のメリットと思いますが、駐在する数年間は海外生活を楽しむことができます。収入が保証された状況で海外生活をエンジョイできるなんて、こんな至れり尽くせりな話はありません。

その国の四季を感じながら生活し、文化に深く触れ合い、いろんな旅行先をじっくり巡る。これは人生でかけがえのない経験となります。

海外生活に憧れる人に対してはこのメリットを深々と説明するまでもないですよね。

 

海外駐在のデメリット

駐在デメリット

ここまでいい話ばかりしてきましたが逆に海外駐在のデメリットについてもご紹介します。

仕事がきつい

メリットのところでも触れたように、海外駐在すると仕事の責任が重くなリますので、その分仕事へのプレッシャも大きくなります

私の場合は営業責任者の立場でしたので、業績が厳しかった時期は寝てても仕事のことを考える毎日でした。その時期は毎日朝8時から23時まで会社で働き、一旦家に帰って30分で夕食を掻き込んでからまた夜中4時くらいまで家で仕事みたいな生活をしてました。

ちなみに過去最高にキツかったのは、47時間不眠で働き、1時間だけ仮眠してその後15時間働いたことです(汗)。。。そのときは本気で幻聴が聞こえました。

また限られた数の駐在員で幅広い仕事をこなさないといけないため、そもそも仕事量が多いです。専門外の不慣れな仕事には時間もかかります。

ただし、仕事はキツくなりますが、自分の努力が会社の業績に直につながるのが感じられるので、やりがいがあるし自分の成長にもつながるので、後ろ向きな気持ちになることはなかったですね。

駐在先や期間は選べない

運が良ければ日頃からの本人希望を踏まえて駐在先を決めてくれる場合もありますが、会社の都合や他人の人事のタイミングなど様々な要素が絡みますので、希望とは関係のない国に駐在することも多いです。なので基本的にはいつ、どの国に行くかは分からないと考えておいた方がよいです。

また駐在期間も本人の希望どおりになるかどうかは分かりません。5年で帰任したいと考えていても、3年で帰任を命じられることもあるし、5年経ったら別の駐在国に異動ということもあり得ます。

ただし「住めば都」でして、どこの国に駐在になっても住んでみればその国のことが好きになるものです。住んでみればその国の良いところがたくさん見えてきますし、現地の人との仲間意識も芽生えるので、いざ帰任が決まるとその国を去るのが名残惜しくなります。

上司と合わないと最悪

これが一番のデメリット、というか海外駐在する際のリスクです。

駐在先では数少ない日本人駐在員と密接に仕事をしますので人間関係は重要になります。特に上司との相性が悪いと精神的に辛いです。駐在先の上司がパワハラ系で精神的に疲れてしまって早期帰任したというのも珍しくはない話です。

そもそも海外駐在というのは、日本とは環境の異なる場所で、日本人以外の人と、外国語を使って仕事をするわけなので、ある種のストレスのかかる環境です。海外駐在を希望する人には、人間関係や環境変化に対する適応力やストレス耐性が必要と言えます。

 

まとめ

海外駐在まとめ

このように海外駐在に出ると仕事はキツくなりますが、その一方で日本にいるよりやりがいがあり自己成長にもつながる仕事ができます。また収入面のメリットや何より海外生活を満喫できることを踏まえると海外駐在は本当におすすめです。

海外駐在をするための最短のステップは、まず日本で海外営業として経験を積むことです。私は海外営業として転職して3年目で最初の海外駐在で出ました。

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