海外志向の強い方にとっては海外営業は憧れの職業ではないでしょうか?
様々なバックグラウンドを持つ外国人との仕事
仕事を通じて様々な海外の文化を学ぶ
海外出張で世界中を飛び回る
ゆくゆくは駐在して海外生活を満喫
私自身はそんな人生に憧れて新卒で海外営業の道を選び、これまで20年以上海外営業として働き、2カ国・8年半の海外駐在を経験しました。
そんな私の経験をもとに海外営業に求められる7つのスキルをご紹介します。
海外営業の仕事にチャレンジしてみたいという方には参考にして頂けると思います。
英語スキル(TOEIC700点レベルで合格)
海外営業の取引先は海外の企業ですので一定の英語スキルが必要です。どのくらいの英語スキルが必要かと言うと、もちろん英語スキルが高いに越したことはありませんが、まず海外営業の職に就くためにはTOEIC700点レベルがあれば合格です。
海外営業って帰国子女や留学経験者ばかりの集団というイメージがあるかもしれませんが実際は全くそんなことはありません。
理由は二つです。
1)取引先とのコミュニケーションはメールが基本
2)仕事を通じて英語レベルは自然と向上する
いまの時代は取引先とのコミュニケーションは基本メールで行います。TOEIC700点レベルの英語力があれば、分からない単語は辞書で調べながらメールの読み書きはできます。最初は戸惑うかもしれませんが英文メールはよく使う定型のフレーズも多くありますので慣れれば問題ありません。
また英語で相手とコミュニケーションをしている中で、相手が使う単語やフレーズをマネしたり、辞書を調べたりすることで、仕事を通じて英語力は自然と向上していきます。
海外営業で必要な英語力はこちらで詳しく解説してますので参考にしてみてください。
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コミュニケーションスキル
英語スキルは一定レベルあるのが前提ですが、最も大切なのはビジネスをするために必要なコミュニケーションスキルです。
英語はあくまでコミュニケーションツールに過ぎず、コミュニケーションを通じて相手に有益な情報提供したり、相手から共感を得たり、相手を説得したりすることが最も大切なスキルです。これは日本人同士のビジネスでも全く同じことです。
よくある悪い例は、英語は得意なので会議の際に挨拶や雑談は卒なくこなすが、肝心の本題に入ると相手の話にうなずいて聞いてるだけで、たまに表面的な質問だけして終わるパターンです。会議のために相手は貴重な時間を費やしてるので、その時間に見合った何かしらの収穫がないと相手の時間をムダにしたことになります。
これを繰り返してると「この人と話をしても何も有益な成果は得られない」というレッテルを貼られてしまい、相手にされなくなります。
幅広い分野の知識(契約・海外物流・会計など)
そもそも営業は会社の代表としてお客様と接するので、自社の商品技術やサービスについてある程度幅広い知識が必要です。例えば、お客様との商談中に購入後のアフターサービスについて聞かれればある程度即答できないど商談がスムーズに進みません。
またお客様と商品納入方法に関する話もしますので、海外物流や貿易実務に関する知識もある程度必要になります。
さらに海外営業の人間は将来の駐在員候補でもあります。海外駐在すると限られた駐在員で幅広い業務をカバーしなければなりませんので、例えば英文契約や財務諸表の見方なども知っておく必要があります。
法務関係の駐在員はいない拠点が大半ですので、現地弁護士や法務部の現地スタッフと連携して契約書を作成したり、何か問題が起きた時の法的措置も対応しなければなりません。また営業系駐在員は拠点の経営状況も把握できてなければなりませんので、P/L(損益計算書)やキャッシュフローも毎月チェックする必要があります。「私は営業の人間なのでお金のことは経理に聞いて下さい」というのでは駐在員失格です。
外国人に負けない自己主張力
日本文化においては「自己主張が強い=マイナスイメージ」「謙虚=プラスイメージ」という風潮が根底にあります。しかし海外では「自己主張をしない人=自分の考えを持ってないつまらない人」と捉えられ、相手になめられてしまいます。
私も入社したての頃は会議の場で言いたいことがあっても言い出せないということがよくありました。「こんなことを言うと相手に悪いかな」「あまり言うとしつこいと思われるかな」と考えてたからです。しかし相手からは「Don’t be shy」とよく言われ、「考えがあったら言ってくれ」とよく言われてました。
言葉にしなくても「察してくれる」だろうという暗黙の了解は海外では通じません。例えば1〜7をお願いすれば、日本人同士だと8〜10も察して対応してくれますが、海外では1〜7しかやってくれません。はっきりと言葉や文字にしてお願いしなければ「何も言われなかったからやらなかった」で終わってしまいます。
ただし勘違いしてはいけないのは「自己主張=相手のことを何も考えずに言いたいことを言う」ということではありません。自己主張とは自分の考えを持って意見を述べるということです。
例えば下記2つを比べてください。
「あなたは○○○がしたいと言うが私はXXXしかしたくない」
「私はXXXがしたい。なぜなら△△△だから。どうだろうか?」
前者はただのわがままで、後者が自己主張です。
自分の意見はしっかり述べて、その理由となるあなたの考えも伝える。その上でもう一度相手の意見を求める、もしくは相手の合意を求めるという思考プロセスが大切です。
わがままばかり言う人は海外でも敬遠されてしまいますので注意が必要です。
異文化に適応する柔軟性
世界には様々な文化・宗教・風習があります。日本とは異なる様々なバックグランドを持つ外国人と仕事をする上では、相手の文化を尊重し柔軟に受け入れる気持ちが大切です。
例えば欧米諸国で多い例ですが夏になると3〜4週間くらいのSummer Vacationを取ることが常識です。日本人の感覚だと仕事にやる気がないと思ってしまいそうですが、欧米では人が生きる上での大切な権利として認識されています。人生において家族や友人と過ごす時間の優先順位が日本とは異なるためです。
なので「そんなに休まれては困る」「休暇中に急ぎの仕事があったら連絡するから」なんてことは間違っても言ってはいけません。仕事のために家族との時間を犠牲にするなんて彼らにとってはあり得ないことですので。
また多くの海外の国と比べて、日本人はルールや時間をきちっと守って仕事をする性質があります。そんなガチガチの日本人の感覚を持ってると、外国人の仕事ぶりがいい加減に感じることがよくあります。しかしそれがその国の人たちの仕事への価値観やメンタリティであり、それが正しいとか悪いとかいう問題ではありません。日本人の感覚で見ると相手が怠けてるようにみえるからと言って、日本のやり方を押し付けると相手は非常にストレスに感じてしまい関係性が悪くなってしまいます。
このような文化の違いに対してストレスを抱えるのではなく、その違いを尊重しつつ柔軟に相手と向き合うことが大切です。
統率力
海外営業の人間は海外のお客様とのあらゆるコミュニケーションの窓口になります。
営業領域の話だけでなく、商品技術やサービス、商品の輸送、契約関連など様々な案件について、相手の会社の営業担当、サービス担当、物流担当、法務担当などと直接やりとりすることもあります。
そういった様々な案件を自分で受けて社内の関連部門と調整する必要があります。海外営業はお客様に対しての責任があるので「何とかベストの対応をしてあげたい」と考えますが、ぶっちゃけ社内の各部門は「自分たちの都合でできることしかやらない」場合もあるので、フラストレーションが溜まることもあります。
しかしそんな関連部門を束ねて、押し引きしながらうまく手のひらで転がし、お客様に答えられるアウトプットを出さなければなりません。
このように海外営業は社内の人間を束ねて必要なアウトプットを導き出す統率力が求められます。
大変な面もある分、幅広い知識や経験を積むことができ、人を動かす力も身についていきます。そしてその経験を積み重ねていった先に、海外拠点の責任者として駐在というポジションにたどり着くことができます。
心身のタフネス
海外営業で働いていると海外駐在に出る確率が高いです。海外駐在はもちろん楽しい面もありますが苦労する面もあります。
仕事面では思考や価値観の異なる現地スタッフと日本語以外の言語でコミュニケーションしながら働くというのは、それが海外駐在の面白みでもありますが、同時に疲れるものです。また駐在員は仕事の負荷と責任も日本にいる時よりも増えます。社内でも社外でも狭い日本人コミュニティに身を置くことになるので人間関係で悩むこともあり得ます。
プライベートでは国によっては日本人向けの物資が手に入りにくい、お店の店員の接客態度にイライラさせられる、差別を受ける、衛生や治安が悪い、などストレスを受けることもあります。家族帯同だと家族のケアも気にしなければなりません。
このように海外駐在をすると大なり小なり、また無意識であっても海外生活ならではのストレスを受けながらの生活になります。
そのようなストレスに対して心身ともに負けないタフネスも持ってなければなりません。
まとめ
海外営業で働くために必要な7つのスキルをご紹介しましたが、何かすごく特別なスキルや資格が必要なわけではありません。また必要なスキルは仕事を通じて磨いていくことができます。
海外営業で働くことは大変な面も多いですが、やりがいもある仕事です。
もし海外営業の仕事に興味があるなら是非チャレンジしてみることをおすすめします。
海外営業の仕事について詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
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